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知的財産ポリシー

国立大学法人電気通信大学 知的財産ポリシー
(制定:H15.11.19 最終改正:H28.9.28)

国立大学法人電気通信大学(以下「本学」という。)における知的財産創出等に関する施策を実施・推進するため、国立大学法人電気通信大学知的財産ポリシー(以下「知的財産ポリシー」という。)をここに定める。

I 基本的考え方

1. 知的財産ポリシーの対象者

知的財産ポリシーの対象者は、以下のとおりである。

  1. 本学において研究開発等に従事する、又は従事した教授、准教授、講師、助教及びその他の職員並びに本学と雇用関係に ある者(以下「職員等」という。)
  2. 本学との間で研究活動、研究成果又は発明等について何らかの契約を交している者(学生、ポストドクター、研究員他)

2. 本学の使命・責務及び理念

本学は、「総合コミュニケーション科学に関連する諸領域の科学技術に関する教育研究を行い、人類の未来を担う人材の育成と学術の研究を通じて文化の発展に貢献することを目的(本学学則第2条)」として、長年にわたって先駆的な教育と研究を行ってきた。近年、IT革命とまで呼ばれる高度情報化社会の到来とともに、本学の主たる専門分野であるコミュニケーションに関する教育と研究には、ますます社会からの大きな期待が寄せられている。
本学に課せられた使命・責務は、そのような社会的要請に応えて、コミュニケーションに関わる総合的科学技術分野の教育研究で指導的役割を果たし、「高度コミュニケーション社会」の発展に貢献することにある。このような使命を具現化するために、本学は、大学自体を「高度コミュニケーション社会」の実践の場と位置付け、実践的教育研究を通して、教育と研究両面で社会との多様な連携を深めることによって、「知のボーダーレスな場」とすることをその理念として掲げている。

3. 本学の社会貢献面での使命・責務と研究成果の育成・活用に関する考え方

(1) 社会貢献面での使命と責務

本学の掲げる社会貢献面での使命と責務は、以下の3点に集約される。
ア.研究活動面における社会との連携及び協力を促進し、本学の研究成果を社会で活用させること。
イ. 社会との双方向の連携を進め、本学の教育活動を社会に発信すること。
ウ. 社会との連携及び協力により、本学の教育研究の機能を充実させること。

(2) 研究成果の育成・活用に関する考え方と本学にとっての知的財産等の位置付け

大学の主たる使命は、
(1)我が国のみならず世界の発展の原動力となる優れた人材の養成・確保、
(2)人類の知的財産の継承と未来を拓く新しい知の創造、
(3)社会の発展や文化創造への積極的貢献、
(4)知的資産を活用した国際協力等、様々な面において、重要かつ幅広い役割を果たしていくことにある。

従来から、大学における研究成果は主として学術論文という形で広く国際社会に公開され、新しい知の創造という重要な役割を果たしてきた。
しかしながら、研究内容、研究分野によっては、大学における成果が知的財産権として正当に保護・活用されていれば、我が国の国際競争力を高め、結果として社会の発展や国際協力に資することが可能であったにもかかわらず、論文として公表されたために公知の事実となって、国内外で利用されている例が多々見受けられる。
本学のような国立大学法人では、国民の税金で研究費の大部分が賄われていることから、大学における有用な研究成果を知的財産として保護し、これらを我が国の技術力の向上に資することは、本学の果たすべき重要な使命であると考える。
一方で、本学の守備範囲である、ソフトウエアに関する研究分野では、その成果をオープン化して広く社会で活用するという考え方があることに配慮し、オープン化すべきと判断されたソフトウエアについては、情報化社会での活用を推奨していく。
なお、その展開については、十分注視するものとする。

(3) 本学における教育・研究と知的財産創出の関係

大学には、教育と研究を通じて長期的視点から社会に貢献することに加えて、社会との連携を通じて自らの研究成果を直接的に社会に還元し活用を図っていくという第三の使命としての社会貢献が求められている。
とりわけ、本学のような理工系大学における教育と研究は産業界からの期待が大きく、人材の育成という教育面と研究成果を主体的に保護・育成し社会に提供することによって社会に貢献することが強く求められている。
大学における学術研究においては研究者の自主性が尊重され、長期的な視野に立った基礎的研究を重視すべきであるが、一方で社会の各方面から寄せられる要請に応えて自らの研究成果を活用して協力していくことは産業界の期待に応えていくことになるばかりでなく、社会の要請に耳を傾けることが教授内容を深め、学術研究に対して刺激を得るという意味で、教育と研究にも相乗効果をもたらすことが期待される。
したがって、本学は基礎的研究を重視しながら、基礎から応用にわたる学術研究によって得られた独創的な研究成果を知的財産として保護し、効果的に活用していくものとする。
加えて、大学における知の創出の源泉は、学内における様々な場における自由闊達な議論であることから、そこで明らかにされるアイデア、ノウハウ等は本学にとっての重要な知的財産であることを認識しそれらを保護することによって本学の教育・研究の質的向上を図ることが重要である。
こうしたことによって、大学の第三の使命である社会貢献を積極的に果たしていく。

4. 社会貢献面での職員等の使命と責務

本学の個々の職員等は、上記の第三の大学の使命である社会貢献の社会的要請を十分に理解するとともに、研究成果の活用に関し、研究成果を知的財産として保護し、その育成・活用を図ることを自らの問題として積極的に意識し、対応していくものとする。
一方で、研究成果を産業界で活用する「産業界との連携及び協力」の活動には、大学本来の使命である、教育と研究の責務が犠牲になる「責務相反」や、外部から得る経済的利益等と教育・研究上の責任が衝突する「利益相反」の問題が絡んでくることから、そのガイドラインをあらかじめ大学で示し、個々の職員等はそのガイドラインを遵守する責務がある。
また、産業界との共同研究等において、関係する職員等、学生等は、守秘義務等、契約の誠実な履行には十分に注意を払う責務がある。

5. 知的財産部門の設置

本学に研究成果としての知的財産を迅速かつ効果的に管理・育成・活用していくことを主たる目的とする知的財産部門を置く。
知的財産部門は、本学「産学官連携センター」の内部組織として位置づけられる。なお、「産学官連携センター」は、大学の第三の使命である社会貢献を本学とその関連組織の連携でボーダーレスに展開することを目的として設立したものである。
知的財産部門では、本学における知的財産の管理・育成・活用のみならず、専門知識を有する人材を活用しつつ、技術移転機関(TLO)等との連携を図りながら、知的財産ポリシーや研究成果等に関する取扱い・ルールの策定等知的財産に関する専門的事項を取り扱うものとする。

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II. 研究成果等に関する取扱いと権利の帰属・承継等

1. 発明(考案を含む)

(1) 権利の帰属に関する考え方

学術研究の発展、知的財産等の有効利用の見地から、本学で生み出される発明に係る特許を受ける権利については、原則として本学帰属とし、知的財産部門で一元管理し、TLO等を通して活用していくものとする。本学と雇用契約のない教員及び学生等の発明については、当該者が希望し、当該発明に係る特許を受ける権利を本学が承継するときには、当該者と本学との間で移転契約を締結する。

(2) 発明の届出

職務発明あるいは研究成果又は発明等に関する契約に係る発明が生じたときには、発明者は論文や学会等での発表前に、その関係する発明を知的財産部門に届け出なければならない。

(3) 評価委員会による発明等の評価・判定

本学に、本学に関係する発明等の知的財産を評価・判定する評価委員会を設置する。
評価委員会は産学官連携センターに付属して置かれ、センター長、各部門長、TLO関係者、その他知的財産活動経験者などから構成される。

(4) 発明の評価と承継手続

評価委員会による評価結果によって、本学が承継すべきであると判定された特許を受ける権利 については本学が承継し、 本学が承継しないと判定された特許を受ける権利については当該発明者に帰属する。

(5) 本学が承継した特許権等(特許を受ける権利を含む。)の取扱い

知的財産部門は本学が特許を受ける権利を承継した発明について特許出願を行い、産学官連携支援部門は特許権等に基づいた共同研究先との連携を行い、ベンチャー支援部門は特許権等に基づいたベンチャーの育成を行い、TLO等は技術移転先の開拓等を行う。
本学が承継した特許権等について、その後評価委員会が、特許権等を維持しないと判定したときは、当該発明者が希望すれば無償で本人に帰属させることができるものとする。

(6) 発明者に対する補償等

本学が特許を受ける権利を承継した発明を出願したとき、および本学に実施料収入或いは譲渡収入があったときには、「国立大学法人電気通信大学発明補償等に関する細則」に定める補償金を当該発明者に支払うものとする。

2. 意匠

本学で生み出される意匠については、「1.発明(考案を含む)」の各事項を準用して取り扱う。

3. 著作物

  1. 本学の発意に基づき本学の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラム、データベースの著作物を除く。)で、本学が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、本学とする。
  2. 本学の発意に基づき本学の業務に従事する者が職務上作成するプログラム、データベースの著作物の著作者は、本学とする。ただし、研究成果としてのプログラム、データベースの著作物の著作者は、当該著作物を作成した者とする。
  3. 本学が費用を支援して行う研究、又は本学が管理する施設設備を利用して行う研究等によ り作成した、プログラム、データベースの著作物を第三者に有償で譲渡又は貸与、若しくは利用の許諾(共同研究、受託研究で作成した著作物の場合は無償を含む)を行おうとする場合は、著作者はその著作物を知的財産部門に届け出るものとする。
  4. 知的財産部門は、前記(3)により届出のあった著作物については、「1.発明(考案を含む)」の(5)(6)を準用して取り扱う。

4. 回路配置

  1. 本学の業務に従事する者が職務上創作をした回路配置の創作者は、本学とする。ただし、研究成果としての回路配置の創作者は、当該回路配置を創作した者とする。
  2. 本学が費用を支援して行う研究、又は本学が管理する施設設備を利用して行う研究等により、回路配置の創作をした場合であって、当該その回路配置を本学により管理することが望ましいと創作者自身が認めるときには、回路配置の創作者はその回路配置を知的財産部門に届け出るものとする。
  3. 知的財産部門は、前記(2)により届出のあった回路配置については、「1.発明(考案を含む)」の(3)から(6)を準用して取り扱う。

5. 研究開発成果としての有体物

  1. 「研究開発成果としての有体物」(以下、「成果有体物」という。)とは、次に掲げるものをいい、例えば、材料、試料(微生物、新材料、土壌、岩石、植物新品種)、試作品、モデル品等をいう。
    • 研究開発の際に創作又は取得されたものであって研究開発の目的を達成したことを示すもの
    • 研究開発の際に創作又は取得されたものであってアに掲げるものを得るのに利用されるもの
    • ア又はイに掲げるものを創作又は取得するに際して派生して創作又は取得されたもの
    • アからウに掲げるものについて記録・記載した記録媒体
  2. 本学が費用を支援して行う研究、又は本学が管理する施設設備を利用して行う研究等により得られた成果有体物の所有権及び成果有体物にかかるすべての権利・法的地位は、特段の定めがない限り本学に帰属する。
  3. 成果有体物の取扱い等については、別に定める。

6. 技術情報及びノウハウ

職員等が保有する技術情報やノウハウについては、知的財産権としての保護の可能性や秘密保持の必要性等の意識の啓発を行う。産学官連携に関係する技術情報及びノウハウについては、本学が職員等と協力してその管理を行うものとする。

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III 知的財産の管理・活用等の推進

1. 研究成果の実用化に向けた本学の責務

本学が知的創造サイクルの一翼を担い、我が国の知的財産立国の構築に貢献するためには、本学で創造された知的財産の中から社会に大きなインパクトを与える可能性のあるものを承継し、権利化してスピーディに産業界に技術移転していくことが、本学としての重要な責務である。

2. 知的財産の実施等に伴う発明者等への報奨

知的財産の実施等に伴い発明者等に対して、補償金等を支払うとともに、当該発明者等の業績評価に反映させる方策を講じるものとする。

3. 知的財産等の学術目的の利用等

権利化された特許等を学術目的に利用することは、原則、自由とする。
ただし、学内で開催される各種の研究会、発表会等で明らかにされるアイデアやノウハウ等について、出席者等に対し学外への流出を防ぐための措置を講じるものとする。
有体物、技術情報、ノウハウ等については、学外の大学等の研究機関が学術目的でこれらを利用することを希望し、その旨の申し出がある場合には、当該研究機関との間で守秘義務、MTA等の契約により有償又は無償で提供できるものとする。

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IV 共同研究・受託研究に伴う権利の帰属とライセンスの考え方

  1. 企業等との共同研究により生じる発明についての特許を受ける権利は、原則として発明者が所属する機関に帰属する。本学の単独特許等については、権利移転、実施権許諾等の最初の交渉権が、当該企業に与えられる。共有特許等については、当該企業は排他権を行使しない限り、原則として、自由に実施できる。ただし、個々のケースごとに研究の目的、実態に沿って柔軟に対応するものとする。
  2. 企業等からの受託研究により生ずる発明についての特許を受ける権利は、原則として本学に帰属する。当該特許等については、権利移転、実施権許諾等の最初の交渉権が、当該企業に与えられる。ただし、個々のケースごとに研究の目的、実態に沿って柔軟に対応するものとする。
  3. 企業等との共同研究及び企業等からの受託研究により生じる発明以外の知的財産に関する権利の取扱い等に関する事項については、個別の契約において定めるものとする。

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V 教職員や学生等の守秘義務等

  1. 職員等は職務上知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない。
  2. 産学官連携に伴い本学が組織として求められる守秘義務等に関して、職員等や学生等に対する啓発を行う。
  3. 産学官連携に際して、相手方に大学の特質と学術上の理解と配慮を求め、研究成果の守秘義務については最小限に留めた上で職員等が成果を発表する機会を確保すること等を、相手方に求めるものとする。守秘の取扱いについては、必要に応じ知的財産部門が支援するものとする。

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VI 知的財産等の管理及び産官学連携の実施・推進体制と責任

産学官連携を効率よく実施・推進するため、産学官連携センター、知的財産部門、TLOの連携により、産業界から見た産学官連携のワンストップサービスを提供できる、独自の実施体制を構築する。このための具体的方策については、「知的財産等の取扱いに関する申し合わせ」として、別に定める。
知的財産部門は、知的財産等の取得、管理、活用等の各プロセスにおいて、本学のTLOと連携し、最大限の効果を上げるよう活動するとともに、知的財産等の管理責任を負うものとする。

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VII 知的財産等の取扱い等に関する異議申立て手続き等

知的財産ポリシーの対象者は、自己の発明や権利化された知的財産等の本学における取扱い等に不服があるときは、学長に異議申立てを行うことができるものとする。
知的財産等の取扱い等に関する異議申立てのうち、職務発明の認定及び大学への承継に関する事項については、職務発明規程に定めるとおりとし、その他の事項についても同規程を準用する。

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